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小説『神獄塔メアリスケルター』感想(ゲーム未プレイ)

 『神獄塔メアリスケルター』はVitaのゲームを元に書かれた小説です。

 さりげなくゲームのシナリオを書いた方、乙野四方字(おとのよもじ)さんが今作の小説も手がけています。
 ということで結構設定についての別視点のお話もあったりするわけなのですが……飴風的にはちょっと期待しすぎたせいか「うーん?」な感想でした。
 それについても具体的に書いていきます。

 あと今作(小説の)後半あたりにはゲーム終盤についての致命的なネタバレがあるという注意書きもあるくらいにゲーム元ネタ小説にしては珍しく踏み込んでいるのですが、そのあたりは小説としては人によって評価が分かれるところ……かもしれないといったところ。
 そのあたりは読んでいた時も結構、「えっ、ゲームがすごく面白かったらどうしよう……!?」といろいろネタバレさけるよう気をつけながら調べた後に開いたりもしました(笑)

 ということで、注意書きにある小説内のゲームにおける超核心部分のネタバレについては記事の最後あたりに書きますし、注意書きもするので気をつけて読んでください。

 ちなみに今作の飴風の読了時間はだいたい二時間。
 結構伏線かなって思った部分を読み返しながら読んでしまったので、思ったよりも時間がかかりましたが先が気になる展開が多いので集中して読みやすい内容だと思います。

 では個人的な感想、レッツゴー!

あらすじ

 ジェイルと呼ばれる謎の植物によって地下に引きずり込まれ、不気味な膜によって太陽の光を遮断された世界。
 光が失われてから生まれた世代の子供たち、主人公のマモルとヒロインの少女ヒカリ。
 物語は二人が畑泥棒(つまみ食い)の帰りに偶然人間狩りをしていたらしいメルヒェンと呼ばれる化物に襲われ捕らわれるところから始まる。
 メルヒェンは人間のように話せず、その思考もよくわからない。
 だがなぜだか人間を集めてはダンジョン内の監獄に放り込み、ぎりぎり死なない程度に加減された拷問を囚人たちに連日繰り返す。
 主人公たちは脱獄しようとするが……。

面白い点

・カエデ(登場人物)が可愛い
・前半の脱出シーンの臨場感
・緊張感がある場面がある
・主人公に好感が持てる

 カエデさんが個人的に姉御って感じで可愛くてよかったです。
 あと前半の命懸けの逃走劇や拷問を繰り返される日々なんかは、これは一体どういう意味なのだろう、化物に変えられてしまうのだろうか、無事に逃げられるのか……?
 と少しだけドキドキしました。

不満点

・主人公のマモルが目立つ活躍をしない
・ヒカリとの関係の描写が少ない気が
・『命を賭けた脱出スリリングストーリー』は前半の一部のみだった
・“必死さ”が感じられない
・セリフでスリルも緊張感も薄まる
・最初の拷問の『壁を舐めさせられる』が最後まで謎
・ラストも少し置いてきぼりだった

 ゲームの原作ありきの小説ということで仕方ないのはありますが、マモルの活躍がパッとしないのは少し残念でした。マモルがいなくても物語が進みそうな気もしなくもないように思えてしまったりもしたので、もやもやしましたね。
 無力な人間故に絶対的な力を持つ化物からは逃げるしかない。というのもありだとは思いますが、メルヒェンを倒せる超人、血式少女たちが持つ武器は人間も使えないのかな? とも思ったり。
 一応、銃とかで倒せなくもないらしいですが、銃弾や銃自体の生産がこの外部の世界と分断された世界では厳しいのかもしれません。
 これが原作の宣伝の小説ではなかったら、もっとガッツリ踏み込んで、いろいろなドラマが展開したのではないかと思います。
 脱出も、散りばめられた疑惑もだいたい未回収で終わるので少しモヤモヤしました。

 実際のところ読了後も、ゲームをすればわかるのかも判断付かない謎が多すぎるので、消化不良感は否めません。原作プレイ済みだったら回収できる謎もある……のかな?
 とりあえず小説版のネタバレ込みで感想も書いていきます。
 以下、ネタバレありなので要注意です!

ネタバレ付きの感想

 脱出系という宣伝と表紙買いをしてしまったので、マモルが「俺がお前の代わりに拷問を受ける」という身代わり的な意味で守ってばかりという展開が多いというのも、うーんという感じでした。
 あと読了後に表紙とか絵を見返して思ったのですが、これ表紙のイラストって序盤、拷問に連れて行かれそうになるヒカリを「俺が行く」と庇うシーンだったんだなと気づきました。

 こう、期待としては「俺は負けねぇ、こいつを守る!」みたいな感じで立ち向かう、絶対者に反抗するようなイメージを持っていたのですが、全然そんなことはなく。

 それとメルヒェンが人間をとらえて行う拷問には三種類あって、大量出血させるものと苦痛で悲鳴を上げさせるもの、あと壁を舐めさせるものがあるそうです。
 ……これ、流血はもしかしたら塔の成長に関係あるかもだけど他二つは関係ある?
 とずっと疑問でした。
 壁を舐めるのはなんか、こう、壁はジェイルという植物っぽい謎の生命体が作り出したものっぽいので何か体に変異を起こして化物にするんじゃないかと思ったりしたのですが、わりとそんなこともなかったっぽいです。
 それに一ヶ月以上経っても人間として生きていられるようですからね。

 壁を舐めると甘い味がかすかにしたらしいのですが、この拷問行為に意味はあったのか、ダンジョンの主のナイトメアも知らないならどうしてこういうことになっているのか?

 メルヒェン、変態? 本能的に変態?

 とにかく最後までこの謎はきちんと解明されることはありませんでした。
 一応、最初の監獄で鬼ごっこを要求してきたナイトメアはメルヒェンを食べてナイトメアという化物になったらしいので、もしかしたら仲間を増やそうとしたのかもという考察もできなくもありませんが、それなら毎日ぽんぽん殺しているメルヒェンや、ジェイルの壁を切り取って食べさせればいいわけですからね。

 あと、最後にマモルたちが核に触れて卵視点(?)になったところがかなり疑問でした。
 マモル以外のみんなも卵視点なの?と。核、あるいはジェイルに意思でもあるのだろうかと疑問で頭がいっぱいでしたが、まあ、そこはゲームに合わせるための部分なのだろうと無理やり納得しました。実はジェイルには意思があって、善良な意思を受けて擬態化を作りたいという本能か願いか何かがあったのだと自己補完してます。

 このようにしてヒカリが天使になったりと擬態化のシステムも結構困惑したりする内容でしたが、でも一応、番外のお話としてはまとまったように思います。

 全体としては面白かったです。
 ただひとつ、迷宮入りしたことや不満点に全て目をつぶってひとつだけ気になったことがあります。
 メルヒェン……見た目が着ぐるみっぽい挿絵があったりしたんですが、あれが実際の姿なんでしょうか?

 個人的にはこう、目がなかったり腕に巨大な刃物があったりとホラー感がある姿を想像していたりしたのですが。あと欲を言えばタクミもあんなにチャラい髪型のイメージではなかったような気もしなくはなかったですが、まあそこは好きずきですね。
 でもカエデさんは完璧なのでオールオッケーです!

総評

 結構ディスってしまいましたが面白いおはなしだとは思いました。
 ただ一冊の小説としての設定と話のまとまりを期待すると、ゲームありきの小説なので多くの謎や組織の疑惑が迷宮入り、一部おいていきぼりは避けられないでしょう。
 (あとゲーム自体がシナリオは面白いのに操作やバグが辛いみたいな話もあるので手を伸ばしにくいです…)

 興味があったら買って読んでみるのも一興です。
 可能だったら立ち読みを検討するのもおおいにありだと思います。かなり好みが分かれそうな内容と密度ですが、好きな人は好きになれると思います。
 ゲームプレイ済みの方は、きっとまったく問題ないことでしょう。

 世界観は素晴らしくて完結した小説で読みたいと思える良作ではあるので、個人的にはそこそこ満足できました。
 なにより読みやすかったですからね。時々読みやすすぎて緊張感や切迫感が失われるのは惜しかったですが、カエデさんがいるのでOKです。

 長くなりましたが、面白かったです。
 久しぶりの書評レビューでしたが、盛大にマイナーなところに飛び込んでしまいました(笑)

 設定は面白いので、気になる方は手に取って見てみることをおすすめします。

 それでは、これにて!