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『ソクラテスに聞いてみた~人生を自分のものにするための5つの対話~』 感想

 さて、久しぶりのまともな書評です!

 今回はずばり、『ソクラテスに聞いてみた』(著:藤田 大雪)!

 飴風の本書読了の時間は二時間前後。
 270ページくらいはありますが、対話形式の内容なので、お堅い本や文学小説が苦手な方もするする読めるかと思います。
 中高生が読んでもついていける、例えるなら「哲学の池上彰」的な難しい内容を誰にでもわかりやすく教えてくれる良著な感じですね!

 本書はわりと今年(2016)の3月に発売したという最近出版された哲学か自己啓発かとジャンルを問われると両方かなって感じの一冊です。
 この本を手にとった経緯としては、『cakes』というコラムが毎日のように連載されるサイトで、この作者様が掲載されていたこの『ソクラテスに聞いてみた』の内容が連載形式で掲載されていたことにあります。
 ものすごく中途半端に真ん中あたりからお試し版的に読むことになったのですが、

テンポ良く会話形式で論理的に展開される主人公サトルくんと哲学者ソクラテスの物語
・コミカルなソクラテスの人柄によるコメディ的な面白さ
・「欺瞞」や「きれいごと」だと無意識に信じ込んでいた常識を自分が本当にそう思うのか?追求
・最後にはソクラテスの話の展開と我々の代弁者サトルくんの現代日本での自分の軸(答え)を鮮やかに見つける

 この爽快感と、「自分はどう考えて生きていきたいのか?

 その疑問を本書の中のソクラテスさんが主人公のサラリーマン、サトルくんを通して我々に徹底して問いかける。
 そんなお話となっています。

 ちなみに飴風の読んだ感想としては、まさに目からウロコ、温故知新、改心と勇気をもらった。
 自己啓発としてはこんな感じで、哲学的視点とソクラテスの哲学の思想を少し理解できたかなといった具合です。
 あと古代ギリシア時代、紀元前の時代を生きたソクラテスの哲学が現代にも通じる、むしろ現代を生きる誰もが忘れてしまった大切なものを思い出させるきっかけを与えてくれることにも驚きを隠せませんでしたね。

 それになにより、読み物としても単純に面白いし先が気になります。

 ちなみにこの作者、藤田 大雪さんはプラトンの著書『ソクラテスの弁明』というソクラテスについて綴られた本の翻訳を他にも数冊Kindle版で出版されている方で、さらに京都大学出身かつ現在そこで非常勤講師を務めていらっしゃる『ギリシャ哲学』を専門とする博士でもあります。
 ので、怪しげな成功者のエセ哲学でもない、ソクラテスをよく学び理解した研究者による著書といえるでしょう。

 本書のコミカルでありながら極めて論理的で逃避を許さないようなソクラテスの哲学の世界観は、この作者にしか書けない、

 「お金に囚われた思想」の中で苦しむ現代に向けた、忘れさせられた唯一の自分を思い出させる一冊であると感じました。

 本書のテーマはずばり、『より良く生きるために』

 つまり生活ではなく、個人としての人生の価値を高める、自分の幸せを見つけるヒントを見つける。そんな感じですね。

 飴風はというと、この本を読む前はそんなcakesの哲学コラムを読みあさるくらいですから、

・社会って息苦しい。「普通」に生きるって、なんて難しいのだろう。
・正社員にならないといけない。お金を稼いで、せめて親に恩返ししてから死なないと。
・世の中、大きくなればなるほど夢がないんだな……。
・好きなことで生きるなんて無理だ。お金がないと、何もできないもの。
・みんなよくも無理して就活して終身雇用なんて恐ろしい契約で一生の時間をお金と交換できるな……。
・失敗したら、もう社会に居場所はないんだろう。一発レッド社会。無能な若者に居場所もないだろうし。

 と、ものすごく人生と未来に悲観的に絶望しまくっていた飴風なのであった( ̄▽ ̄;)
 実は自分、現在進行形で就活生なのですが、先月まではまじめに就活とかしていたものの、たくさんの苦しそうな正社員さんや理想だった職業の人の意地の悪さ、会話をして雰囲気をつかもうと話したり、質問したり、面接でも会社のことをよく知ろうといろいろ聞いていけばいくほど、目的や将来設計がブレていく。

 あれ、私はなんのために生きていくんだっけ……?

 もし、これから何十年も、こんな嫌味っぽいことを言う人の下で働いたらいつか自殺するかも……。

 自分をスキルアップ、キャリアアップさせていくにしても、それは本当に自分の人生のマストなのかな。

 自分はこれからなんのために生きていけばいいんだろう……

 頭の中がぐちゃぐちゃして、「働くことが全て」として生きていかなければならないのかと思うと先が真っ暗になりました。
 学校も研究室以外はあんまり行かなくなって、どうしようどうしようと、答えと救いを求めて本を探しに出歩く日々。

 社会人の友達にも会ったりしたものの、愚痴ばかりで、フリーターになった子の話を聞いても正社員辛かったと。
 仕事も仕事仲間も人の縁とは言え、聞いているとますますわからなくなる。

 朝、目を覚ますと自分の声が「今日どうするの?」「これから、どうするの?」と問いかけられて意識が覚醒します。
 それはさながら先に待つ悪夢から呼び起こされたような心地で。

 ……でも、このままではいけないという強迫観念から逃れる術もなく、探求の放浪は続きました。

 本屋を出歩いていて、最初に心を救ってくれた本は『道は開ける』(著:D・カーネギー)でした。

 彼曰く、
 「最悪を想像し、受け入れれば心を蝕むだけの無為な悩みから解放される
 「今日という区切りを懸命に、今日するべきことをして生きろ。過去も未来も忘れて、今だけを見てみろ」

 とのこと。
 無論、他にも悩みや不安で混沌とした状態を整理するヒントはたくさんありましたが、中でも大きかったのはこれでした。
 また、あまりに思い悩み自分を追い詰めると体も壊すことも知りました。

 ただ、「そうだ、前を見てグッとやることをやろう! 悩んでもしょうがない!」

 と奮い立っても、それは心の火の着火剤としてはとても優れてはいましたが、やがて見失っているがゆえに追いかけてくる絶望から完全に決別するだけの力をもらうには不十分でした。
 当然、現実に立ち向かえるスキルも理想も勇気も風前の灯火同然になっていて、立ち直ろうにもふらついて、また倒れてしまいます。

 世の中、理不尽だなと社会人一歩手前の飴風は思います。
 そんな時に出会ったのが、このソクラテスに聞いてみた』の「cakes」での一部無料記事の掲載。

 読んでいると、するすると論理的な話の展開に引きずり込まれて、サトルくんと同様の「常識」に囚われていた自分をさいなむ鎖を断ち切ってくれました。

 これからどんな軸を胸に抱いて人生を生きていくのか?

 もう一度鎖に繋がれることを自分から望むのか、自力で立ち上がって自分の哲学と人生を吟味しながら前へ歩いていくのか。
 そう問われたような気がしました。
 鮮やかに答えを発掘して見つけ出す、そのお話に感嘆し納得すると同時に、他にも何か自分にヒントをくれるんじゃないか。もしかしたら自分の求めた答えがあるのではないか?

 そう思い立ち、大きな本屋さんで『ソクラテスに聞いてみた』の本を探してみました。
 実際に読んでみると、思った通りにたくさんの人生のヒントや求めた答えがそこにあったのです。

 もちろん、「人生は〇〇なのだー(`・ω・´)バーン!」

 なんてことはなくて、あくまでヒント。
 でもそれを導く過程で、たしかに自分の中の答えへの道しるべが途中まで明らかになるような感覚がありました。

 また、読み進めていくことで正しい意味での自己分析を自然と行えて、消えかけていた自分の原点が見えてくる、このようにも感じられます。
 こうして自分の希望、理想、生きがい、原点、思想や気持ち、好みを論理立てて知っていくこと。

 これが飴風に足りなかった自己分析なんだな、と己の未熟さを思い知らされると同時に、胸にストンと落ちつきました(´▽`)
 自己分析が足りないから軸もないし、自分も見失うし、未来に怖気づいてしまうのかもしれない。

 本書を読んで、これからは「自己追求」を妥協せずノートに日記をつけて、明確な自己を捉えていこうと今回の失敗を改めて踏み出そうと思えました。

 僕のヒーローアカデミアの漫画最新話あたりでも言われていますが、
「原点(オリジン)」の大切さ。
 自分がなんのために拳を振るうのか。
 限界だと思った時に思い出して、限界を超えて立ち向かう力をくれる自分だけの理想、あるいは誓い。

 自分の「原点」をきちんと胸に抱いて、さらに自分に不動の軸を通す。

 そうすることでこそ、揺るぎない自己を作り、胸を張って世の中の理不尽に直面しても生きていけるのかもしれない。
 そう思いました!

 こんな感じで、「自分の原点」「大切なもの」を見直す機会が得られたことは、本書を読んだ上ではとても有意義で幸運だったように思います。
 一人で思い悩んでいたら、哲学の論理で自分の心や思考を整理することもできず、無意味な悩みと不安、絶望に囚われて倒れていたかもしれません。物理的にも、精神的にも。

 ので、本書を読んで元気になったし、自分の人生の中で重要なことを見つけることも出来たので、いろいろと頑張ってみようかと思います。
 小説も、就活も、親孝行も、学校も、いろいろと。
 カクヨムの連載も一週遅れになりましたし( ̄▽ ̄;)


 最後に、読んでいてさりげなく意外に思ったのが、「結婚に否定的」という考え方の不合理性だったりしました。

 結婚はコスパが悪い

 それは結婚式でもかなりお金がかかるというハードルを高く感じる思い込みと、結婚自体が自分の自由を束縛して、仕事以外の貴重な自分の時間を奪っていくのだというネガティブな信仰じみた考え。

 飴風も似たようなことをいつの間にか思っていました。
 そんな毎日誰かに縛られて、お金もたくさん使って、それなのに自分の時間がない生活。
 たしかにコスパが悪い。

 そんなふうに。
 でもソクラテスさんは不思議そうに、サトルくんに問いかけます。


 理不尽なクレーマーに自分をすり減らしてまで満足を与えたり、嫌な上司や客に嫌味を言われながら頭を下げるのは耐えられるのに、

 好きな相手と一緒に暮らしたり、家事をしたり、会話したり食事をすることが耐えられないのはじゃないか?と。


 だいたいこんな感じの会話を後半の章で進めていて(もう少し論理的で納得できる会話です(苦笑))、なるほどたしかに釣り合わないし価値観が矛盾しているなと思いました。
 結婚だって、必ずしも盛大で豪華な結婚式を開く必要もない。
 飴風もささやかに神父さんの前で誓いの言葉を交わしてリングを交換できたらそれで満足ですし。

 なぜ結婚したくない、不幸になる、束縛される……そんなふうに思ってしまったのだろう。
 いつからそう思っていたのだろうと過去を振り返っても、やはり決定的なことは思いつきません。むしろ結婚したいと明確に思ったこともなかったです(笑)

 他にも投資の話やお金そのものの話、本当の友達とは何か?を問うお話が収録されています。

 総評すると、さながら「お坊さんのためになるお話」を徹底的に論理的に展開し、徹底的にこちらに質問をしては答えを修正して、こちらが納得のいく答えやヒントとともに人生の大切さを改めて納得させてくれる一冊。

 そんな感じでした!
 個人的に、最近店で見かける哲学者や有名人の名言集を見るよりはずっとこちらを読むほうが有意義であるように思います。

 なぜ、彼らがその名言を出すに至ったのか?
 その前提には、有名人の名言ももちろん、独自の哲学があるからにほかありません。
 それを一片も理解せずして耳障りの良い言葉や自分に都合が良い言葉だけを求めることに意味があるのでしょうか?
 心得や座右の銘として実践したり、身を引き締めたり、愚行や悪い習慣を改める手助けにはなるとは思いますが、見て満足するだけならば、きっと思想を知ったほうが身の為になるし、ストーリーとして理解したほうが記憶に残るんじゃないかと感じました。

 勇気をもらうなら、名言集。
 自分を強くするなら本書のような書籍が適しているのではないかと読んでみて思いました。
 とはいえ、また何か関連本を読んだら考えが変わるかもしれませんが(笑)

 いろいろと未熟者ですが、これからまた、頑張っていこうかと思いますヽ(´▽`)/
 この記事を見てくれた方が、幸せな人生が掴めることを祈りますね!

 それでは、これにて!